「”NEEDS”と”WANTS”」
2012.02.22
店主の思い付きコラム
先日2012年秋冬物の展示会に行ってきました。今回も心躍るたくさんの
様々なアイテムを作ってきました。様々な展示会ブースで様々な小売店さんが
商談していました。大手ばかりです。待っている間、他社様の商談を聞きながら
再認識したことがあります。それは品揃えの仕方の根本についてです。
お客様主導の品揃えをされていらっしゃる大型ファッションショップは、
”お客様のNEEDSニーズに応える為”を心がけていらっしゃいます。
一方私のやっているような、店主主導の小さなファッションショップは
”お客様のWANTSウォンツを創造し、ワクワクしてもらう”ことを考えています。
そこには、大きな違いがあります。”必要だから着る”ものを用意するか、
”欲しくなったから着る”ものを用意するかの違いです。
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NEEDSとWANTS。これは似て非なるものです。どちらが正しいとか、
どちらが良いとかそんなことではありません。どちらも必要です。
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お客様から病院の先生のお話を聞きました。「大変なお仕事ですね~」
と声をかけられたその病院の先生がおっしゃった言葉が、
「我々はマイナスをゼロに持っていく仕事ですからね。」
その話を聞いた時、私はかねてから思っていた、洋服の小売店においての
品揃えの仕方の違い、すなわち”NEEDSとWANTSの違い”を上手く表現
してくれる言葉だなと感じました。
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服を着る人たちの”マイナスをゼロに持っていく”品揃えの根幹がNEEDS、
”ゼロからプラス”に持っていく品揃えの根幹がWANTS。
これは洋服においてだけ言えることではないのだと思います。
必要なところにそっと手を差し伸べてくれるところも必要だし、
想像できないところから、創造されたものをみて”欲しい”と思うものを
用意することも必要。
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ただ私が昔から思っているのは、そこには順番があるような気がします。
”コアなNEEDS”がスタートで、”WANTS”になり、その先に”NEEDS”が
生まれると。
例えばインターネット。100年前には想像も出来なかったものです。
しかし、世の中にインターネットが登場すると、世界中がインターネットに
対して”WANTS”だったと思います。
ほんの一握りの人たちの”コアなNEEDS(あったらいいな!)”から
創造されたインターネットは、瞬く間に世界中からの”WANTS”に代わり、
いつの間にか生活に無くてはならない”NEEDS”に変化していったと思います。
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服についても全く同じことが言えると思います。そういう意味では日本全体の、
また世界のファッションにおいて、日本の大型ファッションショップの役割は
とっても大きいと思います。
それは、”コアなNEEDS(あったらいいな)”を創造しない限り、NEEDSには
辿りつかないからです。NEEDSばかりでは面白くありません。それはファッション
ではないと思います。全ての商品が”NEEDS”から生まれた品揃えでは、
せっかくのファッションが全く面白くないと思います。
影響力のある大型ファッションショップこそ、今後の日本のファッション界、
また世界のファッション界のために”コアなNEEDS(あったらいいな)”を
創造し続けていってほしいと思います。もちろんNEEDSの商品も同時進行で。
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「ファッションは」進化するから面白く、ゼロをプラスにする楽しいものだと
心から信じています。マイナスをゼロにする衣料品ばかりでは、
ワクワクもドキドキもありません。
「ファッション」はマイナスの心だってゼロを通り越してプラスに持っていける、
人間が人生を楽しめる為のおおきなツールだと信じています。
これからもその心をいつまでも持ち続けて、ワクワクドキドキを創造・
伝達していきたいなと思う今日この頃でした。
(全て個人的な意見です。御批判は御遠慮下さい)