『” スタイル”という到達点』
2013.03.17
店主の思い付きコラム
ファッションという職業に身を置いて、18年。
もう18年でもあり、まだまだ18年でもある。
私は特にメンズドレスの方面 を軸として
ファッションをお仕事にしてきているが、
今まで個人的に”これが欲しい”と思って買った
モノがほとんどない。
洋服屋に入ってからというもの、何を買うにしても
”実験”として買ってきました。
それは販売員として、お客様に品物やコーデイネートを
オススメする側としての責任として、という思いが強かっ
たからです。
これを着たらどうなるんだろう?
洗濯機で洗ったらどうなる?クリーニングだったら?
着た後の経年変化は?手入れは?
どう合わせたら?素材が変わったら?
と、そのほとんどを実験として着用してきました。
それこそ激安ものから超高級ものまで幅広く
着てきました。
今自分でお店をやっていて、お客様とお話しさせて
いただきながら話す内容のほとんどは私の
経験談が多いです。
実験結果として「良いね~」「好きだわ~コレ」という
経験の積み重ねで今のDRESSERSがあります。
・
一方、18年やってきてメンズドレス界に身を置くものとして
とてもとてもうれしく幸せなことに、サルトリア界の巨匠
Antonio Liverano氏とお会いさせていただき、
お付き合いをさせていただくことになりました。
ドレス界に身を置くものとしてとても幸せなことです。
ドレス界には、現在にも過去にも、伝説として
皆の記憶に残る偉人がたくさんいます。
現代においても、あこがれる存在である
たくさんのファッションのプロの先輩方 いらっしゃいます。
その方々を見ていて、またお会いさせていただいて
そこで感じたことがあります。
それは、皆さんそれぞれに「スタイルがある」という事です。
スタイルがあるというのは、「〇〇と言えば、、」という
ときに、大体の人が共通のイメージを持つという事です。
・
ファッション界に限ったことではありませんが、
「スタイルがある」人は、かっこいいです。
では「スタイルがある人」は、なぜスタイルがあるのか
ここ数年真剣に考えていました。
ずっとずっとずっと考えて、たくさんのスタイルがある
方々にお会いして、見てきて、一つの答えが出ました。
(経験をもう20年積んだら、その答えもまた変わるかも
しれませんが、)
その答え、キーワードは一言でいうと、
『好き』
だと思いました。
・
スタイルのある人は、四の五の薀蓄はどうだってよくて、
(そんなことは知ってて当然出来て当然で)、
ただただ純粋に、そのスタイルが「好き」なんだと。
言い方を変えると、
スタイルのある人は、
「好きなことがはっきりしている」
「好きが明確」
なんだと思いました。
・
「好きなことがはっきりする」には、様々なたくさんの
経験があってこそ好きがはっきり出来るのではないか
と思います。
すごい日常の話ですが、
ラーメンもハンバーグもカレーも焼肉もなにもかも
食べたことあるから、好きとか嫌いとかあるんだと思います。
ラーメンでも、塩、醤油、味噌、豚骨など、
食べたことあるから、好きとか嫌いとかあるんだと思います。
・
・
私の尊敬する60歳を過ぎたかっこいいスタイルのる人の話で、
「なぜ〇〇さんは□□を貫けるんですか?」という問いに、
「よく聞かれるんですけど、、、、、、、
これしかなかったのかもしれませんよ。」
というお答えでした。
それは、いろんな方向性あるけど、
”自分の好きをやってたら、こうなってる”
ってことだと思います。
また他の質問でも
「右の人もいれば、左の人もいていいんですよ」
とも言われています。
またその方は、何かをお話しされるときに
「僕は、」という文頭で始まることが多い。
それは自分なりの考え方や哲学、美学なりが
はっきりしているからこそ言える言葉だと思います。
言い換えると、結局「好き」がはっきりしてるんだと思います。
・
そんなことを考えながら、ここ数年自分の「好き」を真剣に
大事にしてきました。
まだまだそんなこと考える人生キャリアじゃないのかな~と
思いながらも、ちょっと考えてみようということで
実践しながらやっています。
好きを取り上げる作業と同時に、そうでもないものを
そぎ落としていく作業を考えながらやっています。
・
先日お客様とお話ししているときに、
「今日DRESSERSっぽい人を見た」とお聞きし、
詳しく聞いてみると、DRESSERSに足しげく通って
いただいてるお客様のことでした。
私はそれを聞いたとき、とてもうれしかったです。
というのも、街で歩いてる人を見て、
「DRESSERSっぽい」と表現していただくという事は、
「DRESSERSと言えば、、」的なスタイルが、
少しだけでも皆様にイメージしていただけるように
なったんだなぁととても嬉しく思いました。
・
今後もスタイルのある人、お店になるために、真剣に
日々日々精進です。
ファッションだけでなく自分の「好き」を明確にすることは
実はとても人生幸せなことなんではないかと感じてます。
自分の「好き」を純粋に真剣に楽しんで生きてる人は
結果として「スタイルのある人」になるのかな~と思って。
自分の「好き」を大事にして
これからドレスファッションをもっともっと楽しんでいこう
と思う今日この頃でした。
皆様今後ともよろしくお願いいたします。